【歌詞対訳】”Buzzcut Season” / Lorde

2024年2月7日

デビュー・アルバム『ピュア・ヒロイン』(Pure Heroine, 2013)に収録。ロードはニュージーランド出身のシンガーソングライター。1996年生まれだから、デビュー当時16歳かそこらということになる。はじめてこの人のデビュー作を聴いたとき、とんでもない才能が出てきたなと感じた。いわゆる早熟な天才型の例として、われわれには全盛期を過ぎてもなお真のアーティストとして別格の存在感を放ち続ける宇多田ヒカルがいるわけだが、少なくとも部分的には宇多田に勝るとも劣らない才能の持ち主だと思う。サウンド的には当時流行っていたジ・エックス・エックスとかジェームズ・ブレイクの流れを汲むものなんだけど、こういう抜きの美学的な音はセンスが本当によくないとできないものだし、何より歌詞のオリジナリティがすごい。ロードといえば何よりもまずZ世代の価値観を高らかに宣言する「ロイヤルズ」で有名なんだけど、この曲もまた何回聴いても飽きがこない。"I live in a hologram with you"というフレーズが秀逸。テレビに映るどこか違う世界の出来事、作られたきらびやかな虚像に比してみすぼらしい自分たちの暮らし、でも友だちとバカ騒ぎをするこの時間さえあれば現実を忘れていられる……。そんな歌だと僕は解釈している。

“Buzzcut Season" (Written by Ella Yelich O’Connor and Joel Little)

I remember when your head caught flame

It kissed your scalp and caressed your brain

Well you laughed

baby it’s okay

It’s buzzcut season anyway

「バズカット・シーズン」

あなたの頭が燃えたときのことを覚えてる

炎はあなたの頭皮にキスをし、脳を愛撫した

あなたは笑った

ベイビー、だいじょうぶ

いまはバズカット・シーズン(丸刈りの季節)なんだから

Explosions on TV

And all the girls with heads inside a dream

So now we live beside the pool

Where everything is good

テレビに映る爆発

それから夢に頭をつっこんだすべての女の子たち

だから私たちはプールのそばで暮らしてる

そこでは何もかもが素晴らしいの

We ride the bus with the knees pulled in

People should see how we’re living

Shut my eyes

To the song that plays

Sometimes this has a hot sweet taste

私たちは膝を抱えてバスに乗る

私たちがどんなふうに生きてるか人々は知るべきよ

目をとじて

流れる音楽に耳を澄ませる

こうするとときどき甘辛い味がする

The men up on the news,

They try to tell us all

That we

Will lose

But it’s so easy

in this blue

Where everything is good

ニュースを読む男性たち

彼らは私たちみんなに伝えようとする

私たちが

何を失うことになるのかを

でもこの青の中では

とっても気楽でいられる

そこでは何もかもが素晴らしいの

And I’ll never go home again

(Place the call, feel it start) Favorite friend

And nothing’s wrong when nothing’s true-

I live in a hologram with you

We’re all the things that we do for fun

(And I’ll breathe, and it goes) Play along

Make believe it’s hyper real-

But I live in a hologram with you

私はもう二度と家には帰らない

(呼び出しボタンを押して、始まりを感じて)大好きな友だちよ

何も正しくなければ何も間違ってやしない

私はあなたとホログラムの中で生きている

私たちは 私たちがふざけてやるすべてのことでできてる

(息をする、それは去っていく)楽しくやろう

それはハイパーリアルだとみせかけよう

でも私はあなたとホログラムの中で生きている

Cola with the burnt out taste

I’m the one you tell your fears to

There’ll never be enough of us

燃えつきた味のするコーラ

私はあなたが不安を打ち明けるその人

私たちだけでもう十分ってことには決してならない