【歌詞対訳】”It’s a Fire” / Portishead

2024年2月7日

デビュー・アルバム『ダミー』(Dummy, 1994)に収録。イギリス・ブリストルで結成されたベス・ギボンズ、ジェフ・バーロウ、エイドリアン・アトリーの3人から成る音楽グループ。もうジャケットからして怖い。聴いてみるとホラー映画のBGMを背景に、ほとんど血の気のない女が悲痛な叫び声をあげている。夏だし、肝試し的なものをと思ってポーティスヘッドを引っ張りだしてみたが、いまだにこの手のサウンドが好きな自分がいる。セカンド・アルバム『ポーティスヘッド』(Portishead, 1997)はさらに暗く沈鬱になっていて、まさに狂気と紙一重の作品。こんな異常なものを作ると後が続かないのは誰にもわかっている話で、それから11年の沈黙を経て2008年にリリースされたサード・アルバム『サード』(Third)(そのまんま(笑))はノイ!やカンといったジャーマン・ロックからの影響を彼ら流に消化した、まさに掛け値なしの傑作だった。

これら3枚の作品を僕は定期的に取り出して聞いているが、初めて聞いたときの衝撃という意味ではやはりこのファーストを挙げるほかない。その中でも"It’s a Fire"は特に好きな曲だ。コロナのせいで世界中の人たちがマスクをするようになったが、"I can’t breathe through this mask"が別の意味で現実になってしまった。どこを見ても人々はみんなマスクで顔をおおっている。それも世界中で。あとになって振り返れば、そんな現実のほうがよっぽどホラーである。

“Its A Fire"(written by Geoff Barrow, Beth Gibbons and Adrian Utley)

It’s a fire

These dreams, they pass me by

The salvation I desire

Keeps getting me down

灯火

これらの夢は私を通り過ぎていく

救いを求めても

気分が沈んでいくだけ

‘Cause we need to

Recognise mistakes

For time and again

私たちはあやまちに

気づかなくてはいけないから

何度も何度も

So let it be known for what we believe in

I can see no reason for it to fail

Cos this life is a farce

I can’t breathe through this mask

Like a fool

So breathe on, sister breathe on

私たちが信じるもののために知らしめよう

上手くいかない理由なんて私にはわからない

だってこの人生は道化芝居ファルスだから

こんな仮面をつけていては息ができない

愚か者みたいね

だから息をして、妹よ、息をし続けて

From this oneself

Testify or tell

It’s fooling us now

この自己から

証言する あるいは 語る

それは私たちをあざ笑っている

So let it be known for what we believe in

I can see no reason for it to fail

‘Cause this life is a farce

I can’t breathe through this mask

Like a fool

So breathe on, little sister, breathe on

Ohh so breathe on, little sister, like a fool

私たちが信じるもののために知らしめよう

上手くいかない理由なんて私にはわからない

だってこの人生は道化芝居ファルスだから

こんな仮面をつけていては息ができない

愚か者みたいね

だから息をして、小さな妹よ、息をし続けて

息をして、小さな妹よ、愚か者みたいに