【歌詞対訳】”Ready to Start” / Arcade Fire

2024年8月17日

サードアルバム『ザ・サバーブズ』(The Suburbs, 2010)からのサード・シングル。デビュー当時から批評家受けするバンドだったが、このアルバムでついに全英・全米1位まで登りつめた。僕自身も間違いなく彼らの最高傑作だと考えているし、なんなら2010年代で一番好きなアルバムを選べといわれたら、このアルバムの名前を挙げるかもしれない。ポストパンクというよりもむしろ60年代風の古いロックンロールやフォークが、彼ら特有のカラフルなサウンドプロダクションと、「郊外」というテーマのもと、うまい具合にかみ合っている。さながら僕たちの世代の『ペットサウンズ』だ。LCDサウンドシステムのジェームズ・マーフィーと組んで一気にダンスサウンドに走った次作の『リフレクター』(Reflektor)も個人的には大好きなのだけれど、正直、これはアーケード・ファイアではないよな、という感じ。残念ながら、『ザ・サバーブズ』をピークに彼らは自分たちの持ち味を薄めていき、無理にメジャー感を出そうとしたのか、妙にノリばかりを重視したサウンドを追求していくことになった。

“Ready to Start"はひと言でいえば決意の歌だ。随所にちりばめられた寓意も含めて、聴き手によってどうとでも解釈できるようになっており、その意味ではオアシスの"Don’t Look Back in Anger"なんかに似ているかもしれない。

“Ready to Start" (written by William Butler, Win Butler, Régine Chassagne, Jeremy Gara, Tim Kingsbury, Richard Reed Parry)

If the businessmen drink my blood

Like the kids in art school said they would

Then I guess I’ll just begin again

You say, “can we still be friends?”

「レディ・トゥ・スタート」

もしビジネスマンたちが僕の血を飲むとしたら

あいつらはやるよ、とアートスクールの学生たちは言っていた

それなら僕はもう一度始めるかもしれないな

君は言う、「私たちはまだ友達でいられる?」

If I was scared, I would

And if I was bored, you know I would

And if I was yours, but I’m not

もし僕が怖がっていたら、やるよ

もし僕が退屈していたら、やるよ わかってるだろ

もし僕が君のものだったら…でもそうじゃないな

All the kids have always known

That the emperor wears no clothes

But they bow to down to him anyway

It’s better than being alone

子どもたちはみんなとっくに知っている

皇帝は何も身に着けていないと*

でもとにかく頭を下げてしまうんだ

一人ぼっちでいるよりはましだからね

*アンデルセンの童話「裸の王様」に由来する表現。歌詞にあるとおり本来は「皇帝」だが、日本では「王様」と訳されて普及している。

If I was scared, I would

And if I was bored, you know I would

And if I was yours, but I’m not

もし僕が怖がっていたら、やるよ

もし僕が退屈していたら、やるよ わかってるだろ

もし僕が君のものだったら…でもそうじゃないな

Now you’re knocking at my door

Saying please come out with us tonight

But I would rather be alone

Than pretend I feel alright

いま君は僕のドアをたたいている

お願い、今夜私たちといっしょに来てと言いながら

でも僕は大丈夫だってふりをするより

むしろ一人でいたんだ

If the businessmen drink my blood

Like the kids in art school said they would

Then I guess I’ll just begin again

You say, “can we still be friends?”

もしビジネスマンたちが僕の血を飲むとしたら

あいつらはやるよ、とアートスクールの学生たちは言っていた

それなら僕はもう一度始めるかもしれないな

君は言う、「私たちはまだ友達でいられる?」

If I was scared, I would

And if I was pure, you know I would

And if I was yours, but I’m not

もし僕が怖がっていたら、やるよ

もし僕が純粋だったら、やるよ わかってるだろ

もし僕が君のものだったら…でもそうじゃないな

Now I’m ready to start

いま僕は始める準備ができた

If I was scared, I would

And if I was pure, you know I would

And if I was yours, but I’m not

もし僕が怖がっていたら、やるよ

もし僕が純粋だったら、やるよ わかってるだろ

もし僕が君のものだったら…でもそうじゃないな

Now I’m ready to start

いま僕は始める準備ができた

Now I’m ready to start

I would rather be wrong

Than live in the shadows of your song

My mind is open wide

And now I’m ready to start

いま僕は始める準備ができた

君の歌の影のなかで生きるより

むしろ僕は間違っていたいんだ

僕の心はすっかりオープンになっている

そしていま僕は始める準備ができている

Now I’m ready to start

My mind is open wide

And now I’m ready to start

You’re not sure you’ll open the door

To step out into the dark

Now I’m ready

いま僕は始める準備ができた

僕の心はすっかりオープンになっている

いま僕は始める準備ができた

闇の中へと出ていくために

ドアを開けるか

君は決めかねている

いま僕は準備ができている