【歌詞対訳】”Ironic” / Alanis Morissette

2024年8月18日

アルバム『ジャギッド・リトル・ピル』(Jagged Little Pill, 1995)に収録。アラニス・モリセットはカナダ・オンタリオ州出身のシンガーソングライター。僕はアヴリル・ラヴィーンの世代なのだが、同じカナダ出身のシンガーではアラニスの方が好きだ。「ユー・オウタ・ノウ」("You Oughta Know")に象徴される個人的な怒りをまき散らしまくりの鬼気迫るボーカルスタイルは、ここ日本でも椎名林檎矢井田瞳といった多くのフォロワーを生んだ。1990年代はニルヴァーナやデビュー当時のベックといったザラついていて殺伐とした音楽が受け入れられた一方で、もう一方ではシャナイア・トウェイン、シェリル・クロウ、フィオナ・アップルといった私小説家的な女性ミュージシャンがつぎつぎに登場した時代でもある。具体例を挙げつつ「これって皮肉じゃない?」と感じたままに問いかけ、自分の考えを表現する「アイロニック」のスタイルは、まさに90年代女性アーティスト的であるように思う。アラニスはこんなふうに説教臭いところがあって、僕は個人的にそこが好きだ。

“Ironic" (written by Alanis Morissette, Glen Ballard)

An old man turned ninety-eight

He won the lottery and died the next day

It’s a black fly in your Chardonnay

It’s a death row pardon two minutes too late

And isn’t it ironic… don’t you think

「アイロニック」

ある老人が98歳になった

彼は宝くじに当たり、翌日亡くなった

それはあなたのシャルドネに浮かんだブヨ

それは2分だけ遅れた死刑囚棟への恩赦の知らせ

これって皮肉でしょ… そう思わない?

*[Chorus]

It’s like rain on your wedding day

It’s a free ride when you’ve already paid

It’s the good advice that you just didn’t take

Who would’ve thought… it figures

*コーラス

それはあなたの結婚式当日に降る雨のよう

それはすでに運賃を払ったあとのただ乗り

それはただあなたが受け取らなかった良いアドバイス

当然のようにこうなると誰が思っただろう…*

*who would’ve thought:このフレーズ単体だと「誰が思っただろう?⇒信じられない」という驚きを表す。it figuresは「当然である、理にかなっている」といった意味。

Mr. Play It Safe was afraid to fly

He packed his suitcase and kissed his kids goodbye

He waited his whole damn life to take that flight

And as the plane crashed down he thought

“Well isn’t this nice…”

And isn’t it ironic… Don’t you think

ミスター・プレイ・イット・セーフ(安全第一の男)は飛ぶのを怖れていた

スーツケースに荷物をつめて子どもたちにさよならのキスをした

彼はただその便に乗るために生涯待ち続けたのだった

飛行機が墜落するとき 彼は思った

「まったく素晴らしいじゃないか…」

これって皮肉でしょ… そう思わない?

*[Chorus]

It’s like rain on your wedding day

It’s a free ride when you’ve already paid

It’s the good advice that you just didn’t take

Who would’ve thought… it figures

*コーラス

それはあなたの結婚式当日に降る雨のよう

それはすでに運賃を払ったあとのただ乗り

それはあなたがただ受け取らなかった良いアドバイス

当然のようにこうなると誰が思っただろう…

Well life has a funny way of sneaking up on you

When you think everything’s okay and everything’s going right

And life has a funny way of helping you out when

You think everything’s gone wrong and everything blows up

In your face

人生はおかしなやり方であなたにしのびよる

すべてが申し分なく、すべてが順調に進んでいると思えるときに

人生はおかしなやり方であなたに救いの手をさしのべる

すべてがうまくいかず、すべてが自分の面汚しになると思えるときに*

*blow up in one’s face「台無しになって~の面目をつぶす」

A traffic jam when you’re already late

A no-smoking sign on your cigarette break

It’s like ten thousand spoons when all you need is a knife

It’s meeting the man of my dreams

And then meeting his beautiful wife

And isn’t it ironic…don’t you think

A little too ironic…and, yeah, I really do think…

すでに遅刻しているときにはまってしまう渋滞

タバコで一息つこうとすると目にとまる禁煙のサイン

それはたった一本のナイフが必要なときに一万本のスプーンがあるようなもの

それは夢にまで見た理想の男に出会い

それから彼に美しい妻がいると知ること

これって皮肉でしょ… そう思わない?

ちょっと皮肉すぎるんじゃない… そうよ、ほんとにそう思う…

*[Chorus]

It’s like rain on your wedding day

It’s a free ride when you’ve already paid

It’s the good advice that you just didn’t take

Who would’ve thought… it figures

*コーラス

それはあなたの結婚式当日に降る雨のよう

それはすでに運賃を払ったあとのただ乗り

それはあなたがただ受け取らなかった良いアドバイス

当然のようにこうなると誰が思っただろう…

Life has a funny way of sneaking up on you

Life has a funny, funny way of helping you out

Helping you out

人生はおかしなやり方であなたにしのびよる

人生はおかしなやり方であなたに救いの手をのばす

救いの手をのばす