【歌詞対訳】”Available” / The National

2025年4月24日

セカンドアルバム『サッド・ソングズ・フォー・ダーティー・ラヴァーズ』(Sad Songs for Dirty Lovers, 2003)に収録。たぶんザ・ナショナルのあらゆる曲のなかでもっともインパクトがある絶叫系のロックナンバー。なんだかくたびれた中年男がブチぎれているかのような風情があるが、当時マット・バーニンガーはまだ30代前半である。このビデオをみると僕なんかはニルヴァーナを思い出すのだが、というのはニルヴァーナを発見したときにネットでみた彼らのビジュアルがびしっとスーツを着込んだものだったから。スーツを着ているのにささくれたロックをやっているというイメージが自分には強烈にかっこいいものと思えたのだが、じっさいのカート・コベインはグランジの王様であって、スーツを着るような人物ではなかった。しかしその後、ザ・ナショナルという、フロントマンがスーツでびしっときめて絶叫するバンドに出会ったことで、僕のなかのかっこいいイメージが具体化されることになった。なんだったか忘れたが、マット・バーニンガーはもっともスーツが似合うロックミュージシャンみたいな投票で一位に選ばれていた気がする。ロックとスーツは矛盾するように思えて、よく考えればデビュー当時のビートルズはみんなスーツを着て優等生っぽいイメージを出していたんだった。

“Available" (written by The National)

Did you clean yourself for me last night

Put the water out and donned a marigold

In your hair to bring me here

And tie one on you

「アヴェイラブル」

昨夜 君は僕のために自分をきれいにしたのかい

お湯を止めて 髪にマリーゴールドを挿した

僕をここに連れてくるために

一杯ひっかけるために*

*tie one on「酔っぱらう」(get drunk)

Did you dress me down and liquor me up

To make me last for the minute when the red comes over you

Like it does when you’re filled with love

Or whatever you call it

僕をしかりつけて酔わせたのかい*

赤ワインの酔いが回ってくるすこしの間、僕をもたせるために*

愛に満たされているときにそうなるみたいに

まあ愛じゃなくて別にどう呼んだっていいけど

*dress down…「…をしかりつける、叱責する」

*the red ここでは赤ワインを指す。

Do you feel alone when I’m in my head

While you wait for me to take my breath

Do you still feel clean

When the only dirt is the dirt I left

僕が内にこもっているとき君は一人だと感じるのかい

僕が息をととのえるのを待つあいだは

まだ清潔だと感じるかい

唯一の汚れが僕の残した汚れであっても

How can you blame yourself

When I did everything I wanted to

自分の望むあらゆることを僕がやったとして

どうして君は自分を責めることができる?

You just made yourself available

You just made yourself available

君はただ自分を都合のいい存在にしただけだ

君はただ自分を都合のいい存在にしただけだ

Why did you dress me down

どうして僕をしかりつけたりしたんだ

And liquor me up

どうして僕を酔わせたんだ