【歌詞対訳】”Wolf Like Me” / TV On The Radio
セカンド・アルバム『リターン・トゥ・クッキー・マウンテン』(Return to Cookie Mountain, 2006)に収録。初期のTVOTRを代表する一曲にして、個人的にはゼロ年代に作られたロックンロールの中でも特にインパクトを感じるもののひとつ。ファンのあいだでは、デイヴィッド・レターマンの番組で披露された迫力あるパフォーマンス(ふたつめのビデオ)はもはや伝説と化していて、僕もこれを観てなにやら得体のしれないインディーナードたちに一発でノックアウトされた。
黒人がフロントマンを務めるロックバンドというだけで珍しいし、ジャリール・バントン(ドラムス)とジェラルド・スミス(ベース)の二人がつくり出す簡潔にしてロックの要を得たリズムと、デイヴ・シーテックがかき鳴らす轟音のギターノイズ、そしてその中を引き裂くようにしてがなり立てるトゥンデ・アデビンペの熱いボーカルの組み合わせは、それまでの僕がまったく耳にしたことがないものだった。ギターをもって立っているだけですでに怪しいキップ・マローンはこのバンドの呪術的な雰囲気づくりに非常な貢献をしている(スタジオ版の女性コーラスを務めているのはセレブレーションのカトリーナ・フォード。ライブではキップが担当)。
ごく普通のポップスしか聞かない良識的なリスナーからすると「なんじゃこりゃ?」という感想しか出てこない音楽なんじゃないかと思うけど、わざわざ好き好んでインディーロックの沼にはまる人たちはこうした聞いたことのないサウンドにぶっ飛ばされる刺激を求めているのだ。もしあなたがちょっとでもインディーロックに興味をもっていて、なおかつこのバンドを聴いたことがなければ、ぜひともファーストアルバムから順にたどっていってほしい。かならずや未知の音楽体験ができることを約束する。
“Wolf Like Me" (written by Tunde Adebimpe)Say say my playmate
Won’t you lay your hands on me
Mirror my malady
Transfer my tragedy
「ウルフ・ライク・ミー(俺そっくりのオオカミ)」
セイ・セイ・マイ・プレイメイト
俺をつかまえないのかい
俺の病気を鏡に映してくれ
俺の悲劇を移し変えてくれ
Got a curse I cannot liftShines when the sunset shifts
When the moon is round and full
Gotta bust that box gotta gut that fish
解くことのできない呪いにかかった
そいつは日が沈むと輝く
月が真ん丸く満ちるとき
あの箱をこわさなくては、あの魚のはらわたを取らなくては
My mind’s aflame
俺の心は燃えている
We could jet in a stolen carBut I bet we wouldn’t get too far
Before the transformation takes
And blood lust tanks and crave gets slaked
俺たちは盗んだ車をぶっ飛ばせる
でも賭けてもいいがはるか遠くへは行けない
やがて変身がはじまり
流血への欲望が戦車のように動きだし、渇望が癒えていく
My mind has changedMy body’s frame, but God I like it
My heart’s aflame
My body’s strained but God I like it
俺の心は変わってしまった
俺の体はただの入れ物だ、でも神よ、悪くないぜ
俺の心は燃えている
俺の体は悲鳴をあげている、でも神よ、悪くないぜ
My mind has changedMy body’s frame, but God I like it
My heart’s aflame
My body’s strained but God I like it
俺の心は変わってしまった
俺の体はただの入れ物だ、でも神よ、悪くないぜ
俺の心は燃えている
俺の体は悲鳴をあげている、でも神よ、悪くないぜ
Charge me your day rateI’ll turn you out in kind
When the moon is round and full
Gonna teach you tricks that’ll blow your mongrel mind
あんたの日給を俺に請求するがいい
現物をもって支払ってやる*
月が真ん丸く満ちるとき
あんたの雑種の心を恍惚とさせるトリックを教えてやろう*
*turn out(俗)「…に麻薬(売春、同性愛など)を経験させる」
*in kind「現物で、同種のもので」
*blow one’s mind「…を恍惚状態にさせる、…を圧倒する」
Baby doll I recognizeYou’re a hideous thing inside
If ever there were a lucky kind it’s
You you you you
ベイビードール、わかっているさ
あんたの内側はいまわしい化け物なんだろ
もしついてるやつがいるとすれば
それはあんたさ
I know it’s strange, another way to get to know youYou’ll never know unless we go, so let me show you
I know it’s strange, another way to get to know you
We’ve got till noon, here comes the moon
So let it show you, show you now
わかっているさ、それがあんたに近づく奇妙なもうひとつのやり方
俺たちが去らないかぎりあんたにはわからない、だから見せてやるよ
わかっているさ、それがあんたに近づく奇妙なもうひとつのやり方
真夜中までに着いた、ここに月が出るぞ*
あんたに見せてやるよ、さあ、これが…
*noon「(古・文)真夜中、夜半」
Dream me, oh dreamerDown to the floor
Open my hands and let them
Weave onto yours
夢想家よ、俺を夢見ろ
地面にはいつくばって
俺の手を開き お前の手に
絡みあわせろ
Feel me, completerDown to my core
Open my heart and let it
Bleed onto yours
完成者よ、奥深くまで
俺を感じろ
俺の心臓を開き お前の心臓の上に
血を流させろ
Feeding on feverDown on all fours
Show you what all that
Howl is for
熱狂を糧とする
地面にはいつくばって
あの吼え声がいったい何を求めているか
教えてやるぞ
Hey hey my playmateLet me lay waste to thee
Burned down their hanging trees
It’s hot (here) hot (here) hot (here) hot (here)
ヘイ・ヘイ・マイ・プレイメイト
汝を滅ぼしてみせよう
やつらの絞首刑用の木を燃やしてやったぞ
熱い(ここは)熱い(ここは)熱い(ここは)熱い(ここは)
*lay waste to「…を荒廃させる」
Got a curse we cannot lift (We’re howling forever)Shines when the sunshine shifts (We’re howling forever)
There’s a cure comes with a kiss
The bite that binds the gift that gives (We’re howling forever)
俺たちは解くことのできない呪いにかかった(我らは永遠に吠え続ける)
そいつは日の光が動くと輝く(我らは永遠に吠え続ける)
キスによってもたらされる治療がある
与えられる贈り物を束ねる噛みつき(我らは永遠に吠え続ける)
Now that we got gone for goodWrithing under your riding hood (We’re howling forever)
Tell your gra’ma and your mama too
It’s true true true true
いまや俺たちは永久に滅びてしまった
あんたの頭巾の下でのたうちまわっている(我らは永遠に吠え続ける)
あんたのばあちゃんに伝えろ、ママにもだ
これは本当さ
(We’re howling forever, oh oh)(We’re howling forever, oh oh)
(We’re howling forever, oh oh)
(We’re howling forever, oh oh)
(We’re howling forever, oh oh)
我らは永遠に吠え続ける、ああ
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