【歌詞対訳】”Red Dress” / TV On The Radio
サードアルバム『ディアー・サイエンス』(Dear Science, 2008)に収録。TV・オン・ザ・レディオには二人のメインソングライターがいる。一人はスウィートでオーソドックスなセンスにあふれたトゥンデ・アデビンペ、そしてもう一人はファンキーかつ実験精神旺盛なキップ・マローン。より正確な言い方をすれば、トゥンデを含むこのグループそのものがもはや変態の域に達している音楽フリーク集団なのだが、そのなかでもキップはとびぬけてアクの強い、奇妙キテレツな音楽性を有している。ビートルズにたとえていえば、トゥンデはポール・マッカートニーであり、キップはジョン・レノンといったところだろう。
荘厳な美しさをたたえた「ファミリー・ツリー」("Family Tree")が終わり、うってかわってこの超ファンキーな「レッド・ドレス」が始まるという流れには本当に度肝を抜かれる。「メリハリ」という言葉はあたかもこの2曲の連なりのためにあるのかと錯覚してしまうくらいだ。なお、「ゴールデン・エイジ」("Golden Age")がアメリカ史上初の黒人大統領の誕生を歓迎する歌だとすれば、「レッド・ドレス」はその前のブッシュ政権への批判をつきつけている歌なのかもしれない。すくなくともアメリカ本国ではそのような見方が強いようだ。とはいえ、このグループの歌の難解さはR.E.M.といい勝負であり、個人的には歌詞の一部だけをピックアップして、それを安易に政治的メッセージと結びつけて解釈するのはあまりよろしくないと感じる。アメリカ黒人の歴史、人種の問題、聖書などへの示唆に満ちたTVOTRの歌はもっと自由な解釈を許すものだと思う。
“Red Dress" (written by Kyp Malone and Dave Sitek)Hey Jackboot!!!
Fuck your war!!
Cause I’m fat and in love
And no bombs are falling on me for sure
But I’m scared to death
That I’m living a life not worth dying for
「レッド・ドレス」
ヘイ、ジャックブート!!!
お前の戦争なんてファックだよ!!
だって俺は太ってるし恋してるから
それに爆弾は絶対俺には落ちてこない
けど死ぬ価値もない人生を
生きてるんじゃないかとびくびくしてる
And your plowshareIt’s a sword
And its wide arcing swing chops the heads off of many things
Mono crops… laughter roars
Oh high hilarity!
Oh muck bury me!!
Oh standard bearer carry me burning home from another tour!!
お前のすきの刃
そいつは剣だ
その大きく弧をえがく一振りは多くのものたちの首をたたき切る
単一作物…… どっと笑いが起きる
なんと愉快なことか!
ごみ野郎 俺を埋めるがいい!!
軍旗手よ 俺をもうひとつの巡業から燃え盛る故郷へ運んでくれ!!
Go ahead put your red dress onDays of white robes have come and gone
Come and gone
Oh your rivers, oh you waters run
Come bear witness to the Whore of Babylon!
さあ、きみの赤いドレスを着るんだ
白いローブの時代はやってきては去っていった
やってきては去っていった
おお、きみの川が、きみの海が流れる
さあ、バビロンの大淫婦の目撃者となるんだ!
“Hey slave," they calledAnd we caved
We answered
To a new name
Shout it loud shout it lame
But blackface it
You’re such a good dancer
Oh you’re a star
You’re carnival
Jacaranda petals fall
Mix with the blood of the saints
Shot down in the square
Don’t track it in on the soles of your shoes
When you’re dragged into the back of this car!
「よお、奴隷」とやつらは呼んだ
俺たちは屈した*1
返事をした
新入りに
大声で叫べ、よわよわしく叫べ
でも顔を黒塗りにしろ
お前はかなりいいダンサーだよ
おお、お前はスターだ
お前はカーニバルだ
ジャカランダの花びらが散る
広場で撃たれた
聖人たちの血と混ざる
この車の後ろに引きずり込まれるとき
靴底でその跡を残すな*2
*1 caveは名詞だと「洞窟」だが、自動詞だと「くじける、屈する」の意味。
*2 track in…「(泥・雪など)を持ち込む」
Go ahead put your red dress onDays of white robes have come and gone
Come and gone
Oh you rivers, oh you waters run
Come bear witness to the Whore of Babylon!
さあ、きみの赤いドレスを着るんだ
白いローブの時代はやってきては去っていった
やってきては去っていった
おお、きみの川が、きみの海が流れる
さあ、バビロンの大淫婦の目撃者となるんだ!
It’s a trapThat much is plain
Still, maybe send snapshots
Of all your sweet pain
Playing torturous games
It goes: Lens, light, fame
Read my names on your lips
When the man cracks the whip
And you’ll all shake your hips
And you’ll all dance to this
Without making a fist
And I know that it sounds mundane
But it’s a stone cold shame
How they got you tame
And they got me tame
そいつは見え透いた罠だ
それでも、たぶんお前の甘美な痛みの
スナップ写真を送るんだろ
込み入ったゲームをしよう
それはこうだ:レンズ、光、名声
その男が鞭をぴしっと鳴らすとき
唇を動かして俺の名前を読め
お前たちはみんな腰を振る
こいつに合わせて踊る
拳をにぎることもなく
つまらなさそうだというのはわかってる
けどそれは石のように冷たい恥辱だ
こうやってお前たちは飼いならされ
俺もまた飼いならされたというのは
So go ahead put your red dress onDays of white robes come and gone
Come and gone
Oh you rivers, oh you waters run
Come bear witness to the Whore of Babylon!!
さあ、きみの赤いドレスを着るんだ
白いローブの時代はやってきては去っていった
やってきては去っていった
おお、きみの川が、きみの海が流れる
さあ、バビロンの大淫婦の目撃者となるんだ!!
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