【歌詞対訳】”(What’s So Funny ‘Bout) Peace, Love and Understanding / Brinsley Schwarz

6作目のアルバム『ザ・ニュー・フェイヴァリッツ・オブ… ブリンズリー・シュウォーツ』(The New Favourites of… Brinsley Schwarz, 1974)に収録。ブリンズリー・シュウォーツは1969年から75年にかけて英国で活動していたパブロック・バンド。英国版ザ・バンドという呼び名もある一方で、知名度的にはいまひとつ、いま聞けばふつうにいいこの曲もあんまり売れなかったという不遇なグループ。ニック・ロウが在籍していたという意味ではポピュラー音楽史的に重要なグループではあるだろうけど。その後、エルヴィス・コステロがジ・アトラクションズとともに発表したカバーバージョンが大ヒットをおさめたのを思うと、売れるためにはやはりパンチというものが必要なのだろうか(もちろん、70年代はフラワームーヴメントが終息し、パンクが台頭しはじめた時代であるということも考慮せねばなるまいが)。

バンドの解散後、コステロの初期作品のプロデュースを手がけることになったのは作曲者でもあるニック・ロウその人であるというところもおもしろい。コステロが1979年にリリースした『アームド・フォーセズ』(Armed Forces)は個人的に好きな作品で、アメリカ盤のみこの曲が最後におかれている。ところがこれを冒頭においているベスト盤を僕は高校生のときによく聞いていたので、長いあいだこれはコステロの曲なのだと勝手に思いこんでしまっていた。なお、コステロのカバーは歌詞がところどころオリジナルとはちがっていて、なかでもいちばん大きいのは"We must have peace"のヴァースがまるまる削除されていることだろう。あまりに思想的すぎると判断されたのだろうか。これがあるのとないのとでは受けとりかたがだいぶんちがってくると思う。

“(What’s So Funny ‘Bout) Peace, Love and Understanding” (written by Nick Lowe)

As I walk this wicked world

Searching for light in the darkness of insanity, oh yeah

I ask myself, is all hope gone?

Is there only pain, hatred, and misery, oh yeah?

この邪悪な世界を歩くとき

光をもとめて狂気の暗闇のなかを進んでいくとき

ぼくは自分に問いかける、希望はもうないのか?

あるのはただ痛みや憎悪、みじめさだけなのか?

And each time I feel like this inside

There’s one thing I want to know

Oh, what’s so funny 'bout peace, love, and understanding?

Oh, what’s so funny 'bout peace, love, and understanding?

みずからの内側にこんな感情があらわれるたびに

ぼくが知りたいと思うことはたったひとつ

ああ、平和や愛、それに理解するということのなにがそんなにおかしいんだ?

ああ、平和や愛、それに理解するということのなにがそんなにおかしいんだ?

And as I walk on through troubled time

My spirit get so downhearted sometime, sometime

So where are the strong? Who are the trusted?

And where is the harmony, sweet harmony?

そして困難な時を歩きすすめていくうちに

ぼくの魂はときおりひどく沈んでしまう

強い者たちはどこにいる? 信頼される者たちはどこにいる?

それに調和は、心地いい調和はどこにある?

'Cause each time I feel it slipping away

It just makes me want to cry

So what’s so funny 'bout peace, love, and understanding?

Oh, what’s so funny 'bout peace and love, yeah yeah yeah yeah?

それがいつのまにか消えていくように感じるたびに

ぼくはただただ泣きたい気持ちになってしまうから

ああ、平和や愛、それに理解するということのなにがそんなにおかしいんだ?

ああ、平和と愛のなにがそんなにおかしいんだ?

We must have peace

More peace and love

It’s just for the children

Of the me generation

ぼくたちには平和が必要なんだ

もっと平和と愛を

ミー・ジェネレーションの

子どもたちのためにね*

*the me generation「ミー・ジェネレーション」(ナルシシズムと自己中心主義の1970年代に生まれた人々を指すことば)

So where are the strong and who are the trusted?

And where is the harmony, sweet harmony?

強い者たちはどこにいる、だれが信頼に値する者たちなんだ?

調和はどこにある、心地いい調和は?

'Cause each time I see it slipping away

It just makes me want to cry

So what’s so funny 'bout peace, love, and understanding?

Oh, what’s so funny 'bout peace, love, and understanding?

Oh, what’s so funny 'bout a little peace and love, yeah yeah yeah yeah?

それがいつのまにか消えていくように感じるたびに

ぼくはただただ泣きたい気持ちになってしまうから

ああ、平和や愛、それに理解するということのなにがそんなにおかしいんだ?

ああ、平和や愛、それに理解するということのなにがそんなにおかしいんだ?

ああ、ささやかな平和と愛のなにがそんなにおかしいんだ?