【歌詞対訳】”I Am a Rock” / Simon & Garfunkel
セカンド・アルバム『サウンズ・オブ・サイレンス』(Sounds of Silence, 1966)のラストナンバー。サイモン&ガーファンクル屈指の名曲のひとつだが、もとはといえばポール・サイモンがソロとして発表した曲である。64年のデビューアルバム『水曜の朝、午前3時』(Wednesday Morning, 3A.M.)がアメリカで売れず、ポールはイギリスにわたって音楽活動を継続、アート・ガーファンクルは学士号をとりにコロンビア大学にもどった。そしてポールは滞在先のロンドンで『ポール・サイモン・ソングブック』(Paul Simon Songbook, 1965)をレコーディングし、リリースする。『水曜の朝』からのレコーディングしなおした2曲に加えてオリジナル9曲という構成だが、そのオリジナルのひとつがこの"I Am a Rock"であり、今日よく知られているのはそれをふたたびデュオとしてレコーディングしたバージョンである。
いまでこそ伝説として語り継がれるデュオだが、その優しく、それゆえに時に軟弱さすら感じさせる詩情豊かな楽曲群はおよそアメリカのマーケット向きではなかった。おなじポールでもマッカートニーのつくる音楽はだれにでも愛されるようなひとなつっこさがある一方で、サイモンのそれは優しくはあれど自己を直視してけっして目をそらさないような厳しさを隠しもっている。ことにアメリカ人はそういうストイックさを煙たがり、わかりやすいもののほうへ流れていくものだ。だが彼は自分の資質がどちらかというとヨーロッパ向きであることを自覚していたからこそロンドンに渡り、その後の成功の糸口をつかんだ。それと知らずにダイヤの原石を手にしている人間は数多いが、それをどう磨けばどのような種類の光を放つのか知っている人間はそう多くない。サイモンはまちがいなくそのような限られた少数の一人だったと思う。
“I am a rock / I am an island"という突拍子もない直喩だが、考えてみれば「岩」はなんぴとによってもけっして動かされない強固さ、頑固さの象徴でもあるし、「島」はもっとおおきくて強固でありながら、そこに人や動植物が集まってくるという点では受け入れるということにもつながってくると思う。どんな岩なのか、どんな島なのかを説明する余計な飾りがないところがまた潔くていい。
“I Am a Rock” (written by Paul Simon)A winter’s day
In a deep and dark December
I am alone
Gazing from my window
To the streets below
On a freshly fallen, silent shroud of snow
「アイ・アム・ア・ロック」
冬のある日
深く暗い12月
僕はひとりでいる
部屋の窓から
下のほうを見つめている
落ちてまもない、しんとした雪の埋葬布につつまれた通りを*
*キリスト教圏では遺体を包む白布のことを“shroud”と呼ぶ。辞書を引くとほかに「経帷子(きょうかたびら)」や「屍衣」といった訳語も載っているが、死者にこれらを着せるのは仏教文化圏なので注意したいところ。
I am a rockI am an island
僕は岩だ
僕は島だ
I’ve built wallsA fortress, steep and mighty
That none may penetrate
I have no need of friendship
Friendship causes pain
It’s laughter and it’s loving I disdain
僕は壁をきずいた
要塞だよ、険しく強固だから
だれも突破することはできないだろう
友情なんか必要としていない
友情は痛みを引き起こす
僕が軽蔑するのは笑いであり愛情なんだ
I am a rockI am an island
僕は岩だ
僕は島だ
Don’t talk of loveWell, I’ve heard the word before
It’s sleeping in my memory
I won’t disturb the slumber
Of feelings that have died
If I never loved, I never would have cried
愛の話はやめてくれ
昔その言葉を聞いたことはあるさ
それは僕の思い出のなかで眠っている
死んでしまった感情のまどろみを
邪魔することはしまい
愛したことがなければ、涙することもなかっただろうに
I am a rockI am an island
僕は岩だ
僕は島だ
I have my booksAnd my poetry to protect me
I am shielded in my armor
Hiding in my room
Safe within my womb
I touch no one and no one touches me
僕には自分を守ってくれる本と
詩とがある
僕はよろいにおおわれて
自分の部屋に隠れている
僕の子宮のなかでは安全だ*
僕はだれにもふれないし、だれかが僕にふれることもない
*roomとwombで韻を踏んでいる。
I am a rockI am an island
僕は岩だ
僕は島だ
And a rock feels no painAnd an island never cries
岩は痛みを感じない
島はけっして泣くことがない







ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません