【歌詞対訳】”I Bet on Losing Dogs” / Mitski

2026年8月6日

4作目のアルバム『ピューバティー2』(Puberty2, 2016)に収録。「My Love Mine All Mine」とおなじく、これもまた多くの支持をあつめる曲のひとつ。例によってとてもみじかい尺のなかで、子守唄のような優しい調子ではじまり、負け犬に対するあわれみにも似た共感、最後に負け犬たる自分をじっとみおろす彼の姿という巧みな構成をとる。うつくしいメロディが描出する心情はどこまで複雑で、辛辣だ。

歌い手がなぜ負け犬に賭けるのかわからないまま聞いていくと、最後にその理由が明かされる。「How you’d be over…」の部分だが、英文法に則って解釈すると「How you would be over…」であり、このwouldは「よく~したものだった」という過去の習慣をあらわす。ということは、歌い手は現在はそのような関係にないということが暗示されるが、はっきりとはわからない。表面的には闘犬をえがいているが、そもそもそれ自体がなにかの比喩かもしれない。

ひとつだけたしかなのは、負け犬にじっと視線を向ける歌い手は、同時にじっと視線を向けられる対象でもあり、ともに救いの手などさしのべられない存在であるということ。ここに「支配・被支配の関係」が反復されているとみるのは容易だが、自分としてはそれよりも音楽全体から伝わってくる一種の哀感、ふしぎなほどに優しいあわれみが印象にのこる。

“I Bet on Losing Dogs” (written by Mitski Miyawaki)

My baby, my baby

You’re my baby, say it to me

Baby, my baby

Tell your baby that I’m your baby

「アイ・ベット・オン・ルージング・ドッグズ」

マイ・ベイビー、マイ・ベイビー

君は僕のベイビーさ、そう言ってよ

ベイビー、マイ・ベイビー

あなたのベイビーに言ってよ、僕は君のベイビーだよって

I bet on losing dogs

I know they’re losing and I’ll pay for my place

By the ring

Where I’ll be looking in their eyes when they’re down

I’ll be there on their side

I’m losing by their side

私は負け犬に賭ける

負けると知っていて 私は自分の居場所のために支払う

リングのそば

そこで私は倒れたかれらの目をじっとのぞき込むだろう

私はかれらの側につく

かれらの側について私は敗れていく

Will you let me, baby, lose on losing dogs?

I know they’re losing and I’ll pay for my place

By the ring

Where I’ll be looking in their eyes when they’re down

I wanna feel it

I bet on losing dogs

I always want you when I’m finally fine

How you’d be over me looking in my eyes when I come

Someone to watch me die

Someone to watch me die

I bet on losing dogs

いいでしょ、ベイビー、私が負け犬で負けても?

負けると知っていて 私は自分の居場所のために支払う

リングのそば

そこで私は倒れたかれらの目をじっとのぞき込むだろう

感じたいだけ

私は負け犬に賭ける

ようやく調子をとりもどすと きまってあなたがほしくなる

私がイクときにおおいかぶさって私の目をじっとのぞき込んでたけど

私が死ぬのを見ているだれかだ

私が死ぬのを黙って見ているだれかだ

私は負け犬に賭ける

(Did you get that?)

(わかった?)