【歌詞対訳】”Washing Machine Heart” / Mitski
5作目のアルバム『ビー・ザ・カウボーイ』(Be the Cowboy, 2018)に収録。ミツキって、ちょっと作曲においても作詞においても普通じゃないというか、奇妙なところがあるのはファンならみんな知っている。でもその「奇妙さ」は、ごくまっとうな感覚の延長線上にある気がしていて、「洗濯機の心」について歌ったこの曲なんかまさにそうだ。
心が洗濯機であるのなら、汚れたものをいれるとそれがきれいになって出てくるわけで、つまりいやだったりつらかったりする経験もそこを通せば受け入れられるものになる、そういうフィルターみたいなものとしての心ということをいいたんじゃないかな。われわれはみんな内部に洗濯機をそなえているのである。でも「dirty shoes」をいれて洗濯機をまわせば、とうぜんぶっ壊れてしまうわけで、ここに彼女の自己破壊願望が透けてみえる。
さて、そこまではよくても、「I know who you pretend I am」というわかりそうで、わからない絶妙なフレーズ。自分はこれを「I know who you pretend [to be], I am」と解釈したが、それでも「I am」がなにを意味しているのかはいまのところ謎だ。ぱっと思いつくのは、「I am [who you pretend [to be]」だが、そうするといろいろつじつまが合わない気がする。
また最後の「do mi ti」だが、ウィキペディアをみるとプロデューサー兼バンドメンバーのパトリック・ハイランドが実にしょうもないことをいっている。いわく、もともとこの曲はアルバムに収録される予定ではなかった、また「do mi ti」は「do mi so」にして「味噌汁」(miso soup)にするつもりが失敗しただけだとか笑 ミツキは汚れた靴だけでなく、味噌汁も洗濯機に入れようとしていたんだな。急にネタ曲のような気がしてきたが、それにしてもDo me it (=Do it to me)説、いけてると思うんだけどなあ。どうだろう。
“Washing Machine Heart"(written by Mitski Miyawaki)Toss your dirty shoes in my washing machine heart
Baby bang it up inside
I’m not wearing my usual lipstick
I thought maybe we would kiss tonight
「ウォッシング・マシーン・ハート」
あなたの汚れた靴を私の洗濯機の心に投げ入れてよ
ベイビー 中をめちゃくちゃにして*
いつもの口紅はつけてないのよ
たぶん今夜キスするんじゃないかと思ったから
*bang upは「~をだめにする、こわす」だが、俗語的に「~を妊娠させる」の意味もある。いずれにせよ、歌い出しからして性的なほのめかしがあるのはまちがいない。
Baby will you kiss me already?And toss your dirty shoes in my washing machine heart
Baby bang it up inside
ベイビー さっさとキスしないの?*
それからあなたの汚れた靴を私の洗濯機の心に投げ入れてよ
ベイビー 中をめちゃくちゃにしてよ
*alreadyは「すでに、もう」という意味だが、それを過去形や現在完了形以外で用いると「ほんとに」とか「さっさと」のような苛立ちのニュアンスが出る。
Baby though I’ve closed my eyes
I know who you pretend I am
I know who you pretend I am
ベイビー 目はとじてるのに
あなたがだれのをふりをしてるのかわかる、私だ
あなたがだれのふりをしてるのかわかる、私なんだ
But do mi tiWhy not me? Why not me?
Do me ti
Why not me? Why not me?
Do me ti
Why not me? Why not me?
でもド・ミ・シ*
どうして私じゃないの? どうして私じゃないの?
ド・ミ・シ
どうして私じゃないの? どうして私じゃないの?
ド・ミ・シ
どうして私じゃないの? どうして私じゃないの?
*英語だと「シ」(ロ音)はti(ティ)もしくはsi(シ)で表記される(do-re-mi-fa-so(l)-la-ti(si)-do)。字面からしても音からしても、ここにDo me it(文法的にはDo it to me=私にそれをして)を連想するのはむずかしくない。





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