【歌詞対訳】”There Is A Light That Never Goes Out” / The Smiths

2024年2月7日

間違いなくザ・スミスというバンドを象徴する曲。ロンドンに行くと赤い二階建てバス(double-decker bus)が市内を走っているが、こんな日常性あふれる乗り物にひかれてつまらない死を迎え、至福の状態へと至るという対比の仕方がいかにもモリッシーらしい。彼の感性は三島由紀夫のそれとだいぶん似通っていると思うが、小説家である三島は高級な語彙によって死を徹底的に美化する一方で、詩人であるモリッシーはごく平凡な言葉の非凡な組み合わせによって死をどこかユーモラスなものに変えてしまう。三島は1970年に切腹自殺という時代錯誤もはなはだしい死に方をしたが、スティーヴン・「アクション」・モリッシーはそもそも死ぬ気などさらさらないようで、今でも元気に毒を吐き続けてくれている。

マーク・ウェブの2009年の映画『(500)日のサマー』では夢見がちな青年トム(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)がちょっと変わった美女サマー(ズーイー・デシャネル)に恋するが、まさにその場面で出てくるのがこの曲である。トムは秘書として入社してきたサマーとエレベーターで偶然二人きりになるのだが、そのときヘッドフォンでこの曲を聴いていた彼は信じられないことを耳にする。サマーが自分もスミスが好きと話しかけてきて"To die by your side is such a heavenly way to die♪"と口ずさむのだ。これは全スミス・ファンが思わずニヤけるところだろう。しかし、トムが思う「スミスが好き」というのはオタク特有の熱狂的な偏愛を伴っているのに対して、サマーの「好き」は言葉の本来の意味での好きでしかない。意図的に時系列をバラバラにした細切れの場面を積み重ねていくことで、すこしずつ二人の関係性が変化していく過程を描写するという構成がじつに秀逸で、英米のサブカルにどのくらい通じているかで理解度が変わってくる作品でもある。個人的には、外見は爽やか系イケメンでも中身はインディー大好きのオタクだとやっぱりうまくいかないというところに妙なリアルさを感じている。

“There Is A Light That Never Goes Out"(作詞:Morrissey 作曲:Johnny Marr)

Take me out tonight
Where there’s music and there’s people
Who are young and alive
Driving in your car
I never, never want to go home
Because I haven’t got one
Anymore

Take me out tonight
Because I want to see people
And I want to see life
Driving in your car
Oh please, don’t drop me home
Because it’s not my home, it’s their home
And I’m welcome no more

*Chorus
And if a double-decker bus
Crashes into us
To die by your side
Is such a heavenly way to die
And if a ten ton truck
Kills the both of us
To die by your side
Well, the pleasure, the privilege is mine

Take me out tonight
Take me anywhere, I don’t care, I don’t care, I don’t care
And in the darkened underpass
I thought: 'Oh God, my chance has come at last!’
But then a strange fear gripped me
And I just couldn’t ask

Take me out tonight
Oh take me anywhere, I don’t care, I don’t care, I don’t care
Driving in your car
I never, never want to go home
Because I haven’t got one
Oh I haven’t got one

*Chorus

There is a light and it never goes out…

「ゼア・イズ・ア・ライト・ザット・ネヴァー・ゴーズ・アウト」(決して消えない光がある)

今夜、僕を連れ出してよ

音楽があって

若くて生き生きとした人たちがいるところへ

君の車でドライブ

僕はもう決して家に帰りたくない

だってもうこれ以上

家なんてないのだから


今夜、僕を連れ出してよ

人々を見てみたいし

人生というものを見てみたいんだよ

君の車でドライブ

ああ、お願いだよ、僕を家におろさないで

だってそこはもう僕の家じゃなくて他の人たちの家だし

もうこれ以上僕は歓迎なんてされないのだから


*コーラス

もし二階建てバスが

僕たちに突っこんできて

君のそばで死ぬなんてことになったら

それはきっと天国のようにすばらしい死に方だろうね

もし10トントラックが

僕たち二人をひき殺して

君のそばで最期を迎えるなんてことになったら

喜びも特権もみんな僕のものさ


今夜、僕を連れ出してよ

どこへでも連れて行ってよ、どこだってかまわないさ

ガード下の交差路の暗がりで

僕は思ったんだ「神様、とうとう僕にもチャンスがやってきた!」

でもそれから奇妙な恐れにとらえられて

言い出すことができなかったんだ


今夜、僕を連れ出してよ

どこへでも連れていってよ、どこだって気にしないよ

君の車でドライブ

僕はもう二度と家に帰りたくない

だって帰る家なんてないのだから

もう帰れはしないんだ


*繰り返し


一筋の光があって、それは決して消えていかないんだ…