【歌詞対訳】”Fourth of July” / Sufjan Stevens

2024年2月7日

7枚目のアルバム『キャリー&ローウェル』(Carrie & Lowell, 2015)に収録。スフィアン・スティーヴンズはミシガン州デトロイト出身のシンガーソングライター。1999年にアルバムデビュー後、アメリカ50州すべてのためにアルバムを制作するという壮大なプロジェクトを発表したり(のちにあれはジョークだったとして撤回された(笑)ともあれ、イリノイ州をテーマにした『イリノイ』(Sufjan Stevens Invites You to: Come on Feel the Illinoise, 2005)は個人的によく聴いた)、近年ではソロ作品に迫る勢いでさまざまなミュージシャンとコラボ作品を出していたりと、とにかく自由気ままな人である。4月にザ・ナショナルが『フランケンシュタインの最初の2ページ』をリリースしたが、スフィアンは1曲目の"Once Upon a Poolside"にしっかりゲスト参加している。

『キャリー&ローウェル』はスフィアンのアルバムの中で個人的に最高傑作だと思っている。タイトルになっているのはスフィアンの母親キャリーと義父のローウェルである。キャリーは精神の病を患っており、ドラッグに手を出すようになり、幼いスフィアンの育児を放棄し、ローウェル・ブラムズと再婚後、2012年にがんで亡くなった。スフィアンは亡き母への複雑な思いを一枚のアルバムに仕上げた。「七月四日」は亡くなった母親との対話を描いているが、互いへの呼びかけが蛍や鷹、トンボや鳩など次々に変化してくところには何か土着的なもの、仏教の輪廻転生のようなものを感じる。ケイティ・ペリーの"Fireworks"みたいに独立記念日である7月4日を高らかに歌い上げるポップソングもあれば、こんな儚い美しさをもった歌もある。

“Fourth of July” (Written by Sufjan Stevens)

The evil it spread like a fever ahead

It was night when you died, my firefly

What could I have said to raise you from the dead?

Oh could I be the sky on the Fourth of July?

「七月四日」

邪悪なもの、それは発熱のように行く手に広がっていった

それはあなたが死んだ夜のことだった、僕の蛍よ

死者たちの中からあなたを引き上げるには何を言えばよかったのだろう?

ああ 僕は七月四日の空になれるだろうか?

“Well you do enough talk

My little hawk, why do you cry?

Tell me what did you learn from the Tillamook burn

Or the Fourth of July?

We’re all gonna die.”

「おしゃべりはもうおやめ

わたしの小さな鷹よ、どうして泣くんだい?

あのティラムックの山火事や七月四日から

何を学んだのか教えておくれ

わたしたちはみないずれ死んでいくんだよ」

Sitting at the bed with the halo at your head

Was it all a disguise, like Junior High

Where everything was fiction, future, and prediction

Now where am I?  My fading supply

頭の上に光輪を浮かべてあなたはベッドに腰かけている

それはみんな見せかけだったのか、中学みたいに

そこでは何もかもが虚構であり、未来であり、予言だった

いま僕はどこにいるのだろう? すこしずつ尽きていく僕の源よ

“Did you get enough love, my little love

Why do you cry?

And I’m sorry I left, but it was for the best

Though it never felt right

My little Versailles.”

「愛は十分与えられたかい、わたしの小さな鳩よ

どうして泣くんだい?

去ってしまってごめんよ、でもそれは一番いいもののためだったんだ

決して正しいとは感じられなかったけれど

わたしの小さなヴェルサイユよ」

The hospital asked should the body be cast

Before I say goodbye, my star in the sky

Such a funny thought to wrap you up in cloth

Do you find it all right, my dragonfly?

お別れを告げる前に遺体を整えますか

と病院は訊いてきた、空に浮かぶ僕の星よ

あなたを布で巻くというのはなんて可笑しな考えだ

これでいいのだと思いますか、僕のトンボよ?

“Shall we look at the moon, my little loon

Why do you cry?

Make the most of your life, while it is rife

While it is light

Well you do enough talk

My little hawk, why do you cry?

Tell me what did you learn from the Tillamook burn

Or the Fourth of July?

We’re all gonna die.”

「月を見ようかね、わたしの小さなアビよ

どうして泣くんだい?

命を最大限に活かすんだよ、それが豊富であるうちに

明るいものであるうちに

お前はよくしゃべるね

わたしの小さな鷹よ、どうして泣くんだい?

あのティラムックの山火事や七月四日から

何を学んだのか教えておくれ

わたしたちはみないずれ死んでいくのだから」