【歌詞対訳】”What the Water Gave Me” / Florence + the Machine

セカンド・アルバム『セレモニアルズ』(Ceremonials, 2011)に収録。"What the Water Gave Me"というタイトルはフリーダ・カーロの絵画"Lo que el agua me dio" (1938)に由来し、"Pockets full of stones"というフレーズはポケットに石を詰めて入水自殺したヴァージニア・ウルフのイメージから来ている。ここでのthe waterは大量の水、具体的には海や川、湖といったものの総称として用いられている。フローレンスにとって、水というものは命をもたらすものでもあり、命を奪うものでもあり、何より圧倒的(overwhelming)なものの象徴ということらしい。ビデオは音楽に身をゆだねるフローレンスの様子が印象的で、水、すなわち圧倒的なものは、そのまま音楽へとつながっていくということなのだと僕は理解した。

ところで最近、大江健三郎の『人生の親戚』(1989)を読んだ。主人公の倉木まり恵はフラナリー・オコナーの研究者という設定だが、かつて僕もオコナーを熱心に読んだ経験があり、どんな内容なのかずっと気になっていたからだ。大江作品は十作に満たない程度しか読んでいないが、その中でも確実に上位に位置する、非常に胸を打つ作品だというのが僕の感想。そして小説の中には大江がメキシコ滞在したときの話といっしょに、フリーダ・カーロへの言及も出てくる。ウルフのことは知っていてもフリーダのことは知らず、したがってこの曲のタイトルを長年ミステリアスだと感じていたのだが、ふとしたきっかけで解決することとなった。

“What The Water Gave Me" (written by Florence Welch and Francis White)

Time it took us

To where the water was

That’s what the water gave me

And time goes quicker

Between the two of us

Oh, my love, don’t forsake me

Take what the water gave me

「ワット・ザ・ウォーター・ゲイヴ・ミー(水が私にもたらしたもの)」

時間 それが私たちを

水のある場所へとつれてきた

それは水が私にもたらしたもの

私たち二人の間で

時間はますます早く過ぎていく

ああ、恋人よ、私を見捨てないで

水が私にくれたものを受け取ってほしい

Lay me down

Let the only sound

Be the overflow

Pockets full of stones

私を沈めて

ただひとつの音を

氾濫に変えるのよ

石がいっぱい詰め込まれたポケット

Lay me down

Let the only sound

Be the overflow

私を沈めて

ただひとつの音を

氾濫に変えるのよ

And oh, poor Atlas

The world’s a beast of a burden

You’ve been holding up a long time

And all this longing

And the ships are left to rust

That’s what the water gave us

おお、あわれなアトラスよ

世界は重たい獣だ

お前は長い時間もちこたえている

このあらゆる憧憬

錆びてゆくままの船

それは水が私たちにもたらしたもの

So lay me down

Let the only sound

Be the overflow

Pockets full of stones

Lay me down

Let the only sound

Be the overflow

私を沈めて

ただひとつの音を

氾濫に変えるのよ

石がいっぱい詰め込まれたポケット

私を沈めて

ただひとつの音を

氾濫に変えよう

‘Cause they took your loved ones

But returned them in exchange for you

But would you have it any other way?

Would you have it any other way?

You couldn’t have it any other way

なぜなら彼らがあなたの愛する者たちを奪ったから

けれどあなたと引き替えに返してきた

何か他の方法でもよかったのにと思う?

何か他の方法でもできたのにと思う?

他の方法ではだめだったのよ

‘Cause she’s a cruel mistress

And a bargain must be made

But oh, my love, don’t forget me

When I let the water take me

なぜなら彼女は残酷な恋人で

契約は交わされねばならないから

けれどああ、恋人よ、水に連れ去られていく私を

忘れないで

So lay me down

Let the only sound

Be the over flow

Pockets full of stones

私を沈めて

ただひとつの音を

氾濫に変えるのよ

石がいっぱい詰め込まれたポケット

Lay me down

Let the only sound

Be the overflow

私を沈めて

ただひとつの音を

氾濫に変えるのよ

So lay me down

Let the only sound

Be the overflow

Pockets full of stones

私を沈めて

ただひとつの音を

氾濫に変えるのよ

石がいっぱい詰め込まれたポケット

Lay me down

Let the only sound

Be the overflow

私を沈めて

ただひとつの音を

氾濫に変えるのよ