【歌詞対訳】”Lemonworld” / The National

2024年2月7日

5枚目のアルバム『ハイ・ヴァイオレット』(High Violet, 2010)に収録。ザ・ナショナル? 何それ?というのがライトな洋楽リスナーの反応かもしれないが、彼らはすでにアメリカ・インディーロック界の超大御所である。この4月にはフィービー・ブリジャーズやテイラー・スウィフト、スフィアン・スティーヴンズともコラボした新作『フランケンシュタインの最初の2ページ』(First Two Pages of Frankensteinがリリースされる。いまから楽しみでたまらない。4枚目のアルバム『ボクサー』(Boxer, 2007)でメジャーシーンに躍り出た頃の彼らは、いわばジョイ・ディヴィジョンとREMを足して2で割ったような音楽性だったが、その後ブラスセクションはより華やかになり、実験音楽やアンビエントの影響も色濃く出はじめ、まさにザ・ナショナルとしか言いようがない独自のサウンドを確立するに至った。

ただ、個人的にはメジャーデビューからさらなる深化・洗練へと向かっていく過渡期の『ハイ・ヴァイオレット』こそが彼らの最高のアルバムだと思っている。"Lemonworld"はマット・バーニンガーのスムーズな歌いっぷりが心地いいし、霞がかった音響の向こうには魅惑に満ちたレモンの世界が立ち上がるような感じさえする。レモンの世界というのは、いろいろ調べた限りでは、ニューヨークから離れた理想郷、現実逃避のための場所ということらしい。代表曲のひとつ"Bloodbuzz Ohio"では彼らのルーツであるオハイオへの思いが歌われているが、それは生まれ故郷を去ってニューヨークでショービジネスの世界にどっぷり浸かっていくことへの違和感やとまどいをあからさまに表明するものでもあった。この曲のあとに"Lemonworld"が続くことからもテーマ的な関連性が意図されているといえるかもしれない。

“Lemonworld” (written by Matt Berninger and Bryce Dessner)

So happy I was invited

Gave me a reason to get out of the city

See you inside watching swarms on TV

Living and dying in New York, it means nothing to me

「レモンワールド」

招かれてとても嬉しいよ

この街を出ていく理由をくれた

中ではテレビに映った群れをじっと見ている君の姿

ニューヨークで生きて死んでいくこと、それは僕にとって何の意味もない

I gave my heart to the army

The only sentimental thing I could think of

With cousins and colors somewhere overseas

But it’ll take a better war to kill a college man like me

僕は心を軍隊に捧げた

思いつく限り唯一センチメンタルなものを

いとこたちと、いろいろなバッジをつけて、海外のどこか

でも僕みたいな大学出の男を殺すにはもっとマシな戦争がいる

I’m too tired to drive anywhere

Anyway right now, do you care if I stay?

You can put on your bathing suits

And I’ll try to find something on this thing that means nothing enough

あまりに疲れていてどこにも運転していけない 

ところで ここにいさせてくれないかな?

君は水着を着てもいい

そしたら僕はこのことについて大して何も意味しない何か見つけようとするだろう

Losing my breath

Losing my breath

息が切れてしまう ドゥー、ドゥー、ドゥー、ドゥー、ドゥー、ドゥー、ドゥー……

息が切れてしまう ドゥー、ドゥー、ドゥー、ドゥー、ドゥー、ドゥー、ドゥー……

You and your sister live in a Lemonworld

I want to sit in and die

You and your sister live in a Lemonworld

You and your sister live in a Lemonworld

I want to sit in and die

You and your sister live in a Lemonworld

君と君の妹はレモンの世界に住んでいる

僕も加わって死にたい

君と君の妹はレモンの世界に住んでいる

ドゥー、ドゥー、ドゥー、ドゥー、ドゥー、ドゥー、ドゥー、ドゥー……

This pricey stuff makes me dizzy

I guess I’ve always been a delicate man

It takes me a day to remember a day

I didn’t mean to let it get so far out of hand

この高いやつにはめまいがするね

僕はいつだって繊細な男なのかも

一日のことを思い出すのに一日かかるんだ

すぐにそんなに遠くまでやってしまうつもりはなかったんだけどな

I was a comfortable kid

But I don’t think about it much anymore

Lay me on the table, put flowers in my mouth

And we can say that we invented a summer loving torture party

僕は何不自由ない子どもだった

でももうそのことはあまり考えない

テーブルに寝かせてくれよ、口に花を突っ込んでくれ

ひと夏の愛らしい拷問パーティーを思いついたってところだね

I’m too tired to drive anywhere

Anyway right now, do you care if I stay?

You can put on your bathing suits

And I’ll try to find something on this thing that means nothing enough

あまりに疲れていてどこにも運転していけない 

ところで ここにいさせてくれないかな?

君は水着を着てもいい

そしたら僕はこのことについて大して何も意味しない何か見つけようとするだろう

You and your sister live in a Lemonworld

I want to sit in and die

You and your sister live in a Lemonworld

You and your sister live in a Lemonworld

I want to sit in and die

You and your sister live in a Lemonworld

君と君の妹はレモンの世界に住んでいる

僕も加わって死にたい

君と君の妹はレモンの世界に住んでいる

ドゥー、ドゥー、ドゥー、ドゥー、ドゥー、ドゥー、ドゥー、ドゥー……

Losing my breath

息が切れてしまう……