【歌詞対訳】”Laugh Track (feat. Phoebe Bridgers) / The National
10枚目のアルバム『ラフ・トラック』(Laugh Track, 2023)のタイトル曲。"laugh track"というのは、テレビのバラエティ番組やラジオなんかで差しはさまれる録音された観客の笑い声のことだ。アニメで表現されているビデオを見ていただければわかると思うが、ここではマット・バーニンガーとフィービー・ブリジャーズからなる中年の夫婦が話し合いによって互いの問題をさらけ出し、認め合い、建設的な解決に至ろうとしている。しかし、そこで提案されるのが"laugh track"(なんだか『君たちはどう生きるか』に出てくるワラワラみたいだ。といっても、ここでは「わらわら」出てくるだけじゃなくて「笑笑」なのだけど)をかけてみようじゃないか、ということなのが面白い。たしかに人生においては、ここで笑いの効果音を加えてみたらどうかみたいな、どうしようもなかったりどうにも作り物じみた場面に出くわすことがある。
“Laugh Track" (written by Aaron Dessner and Matt Berninger)Losing my momentum, losing my mind
Not enough to mention, not enough time
I can’t even say what it’s about
All I am is shreds of doubt
「ラフ・トラック」
勢いを失くしつつある、正気を失いつつある
わざわざ触れることでもない、十分な時間もない
それが何のことなのか言うことすらできない
僕のすべては疑念の切れ端なんだ*
*shredとdoubtといえばふつうはnot a shred of doubt (=no doubt at all)「疑いは一片もない」となるが、ここではshreds of doubtなので疑いしかない。
And you don’t know how to deal with meYou don’t know how that feels
It all comes apart so easily
And you’re running out of ideas
君は僕をどう扱ったらいいかわからない
それがどんな感じなのか君にはわからない
それは本当に簡単にばらばらになってしまう
君はだんだん考えが尽きていく
Everything melted in less than a weekWatching it felt like forever
The lights started dimming
And then they went out
Heaven came down like a blanket
I can’t even say what it’s about
All I am is shreds of doubt
何もかもが一週間もしないうちに溶けてしまった
その様子をじっと見ているとまるで永遠のような気がした
光はぼんやりと暗くなりはじめ
やがて消えてしまった
天国はまるで毛布みたいに降りてきた
それが何のことか言うことすらできない
僕のすべては疑念の切れ端なんだ
So turn on the laugh trackEveryone knows you’re a wreck
You’re never this quiet, your smile is cracking
You just haven’t found what you’re looking for yet
ラフ・トラックをかけてくれ
君が参ってしまっているのはみんな知っている
君はこんなに静かじゃないはずだ、君の微笑みはひび割れていく*
君はまだ探しているものを見つけていないだけだ
*smileとcrackが出てきたらふつうはcrack a smile「わずかに、あるいは不意に微笑む」になるのだが、入れ替えるだけでまったく違う意味になる。
Turn on the laugh trackWe’ll see if it changes the scene
Maybe this is just the funniest version
Of us that we’ve ever been
ラフ・トラックをかけてくれ
それで状況が変わるかどうかはじきにわかる
たぶんこれは僕たちの今までで
一番笑えるバージョンなんだ
I think our feet are gonna slip
I think our hands are gonna shake
I think our eyes are gonna cry
I think our hearts are gonna break
僕たちの手は握手すると思う
僕たちの目は泣くと思う
僕たちの心は傷つくと思う
Maybe we’ll never lighten upMaybe this isn’t gonna quit
I think it’s never coming back
Maybe we’ve always been like this
たぶん僕たちは決して明るくならない*
たぶんこれは離れていかない
それは決して戻ってこないだろう
たぶん僕たちはいつでもこんな感じ
*lighten upは口語で「物事を深刻に考えないようにする」の意味。
So turn on the laugh trackEveryone knows you’re a wreck
You’re never this quiet, your smile is cracking
You just haven’t found what you’re looking for yet
君が参ってしまっているのはみんな知っている
君はこんなに静かじゃないはずだ、君の微笑みはひび割れていく
君はまだ探しているものを見つけていないだけだ
Turn on the laugh trackWe’ll see if it changes the scene
Maybe this is just the funniest version
Of us that we’ve ever been
ラフ・トラックをかけてくれ
それで状況が変わるかどうかはじきにわかる
たぶんこれは僕たちの今までで
一番笑えるバージョンなんだ
I think our feet are gonna slipI think our hands are gonna shake
I think our eyes are gonna cry
I think our hearts are gonna break
僕たちの足は滑ると思う
僕たちの手は握手すると思う
僕たちの目は泣くと思う
僕たちの心は傷つくと思う
So turn on the laugh trackEveryone knows you’re a wreck
You’re never this quiet, your smile is cracking
You just haven’t found what you’re looking for yet
ラフ・トラックをかけてくれ
君が参ってしまっているのはみんな知っている
君はこんなに静かじゃないはずだ、君の微笑みはひび割れていく
君はまだ探しているものを見つけていないだけだ
Turn on the laugh trackWe’ll see if it changes the scene
ラフ・トラックをかけてくれ
それで状況が変わるかどうかはじきにわかる
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