【歌詞対訳】”Surfin’ USA” / The Beach Boys

2024年2月7日

セカンド・アルバム『サーフィンUSA』(Surfin’ USA, 1963)に収録。ビーチ・ボーイズを代表する曲のひとつであり、同時にサーフミュージックというジャンル全体を象徴する曲でもある。初期のビーチ・ボーイズは海、サーフィン、女の子、ホットロッド(速度が出るように改造した車)のイメージで明るく軽快なロックンロールを奏でていた。しかし、アメリカに進出してきたビートルズの『リボルバー』(Revolver, 1966)に対抗するアルバムとして『ペット・サウンズ』を作り上げるも、ブライアン・ウィルソンの内面が色濃く反映された芸術志向の作品であったため、当時はあまり受け入れられなかった。そこからブライアンは薬物中毒となり、長きにわたって沈黙することになる。それにしても、『サーフィンUSA』のジャケットは不気味だ。一人きりでサーフィンをしている男性は今にも大波に飲み込まれてしまいそうにも見える。同アルバムには「ロンリー・シー」("Lonely Sea")という曲も収録されているが、ブライアンにとっての海はむしろ、変化し続けていくもの、それゆに不安をかきたてるものの象徴だった。レノン=マッカートニーに対抗するには、彼はあまりに孤独で、そして繊細すぎた。

この曲はチャック・ベリーの「スウィート・リトル・シックスティーン」(“Sweet Little Sixteen”)にサーフィンの名所の数々を織り込んだ詞を載せたもの。カリフォルニアのサーフスポットを中心に地名をただ並べただけみたいな歌詞だが、一般的なアメリカ人にも全部はわからないだろうと思う。実際のところ、どうなのだろうか? 僕が住んでいる宮崎もまたサーフィンの名所が多く、「オール・オーバー・アオシ~マ」とか勝手に替え歌にして口ずさんでいるが、案外違和感はない。

“Surfin’ USA"(written by Chuck Berrry)

If ev’rybody had an ocean across the U.S.A.

Then ev’rybody be surfin’ like California

You’d see them wearin’ their baggies,

Huarache sandals too.

A bushy bushy blonde hairdo, Surfin’ U.S.A.

もしアメリカを横切って流れる海があったら

みんなカリフォルニアみたいにサーフィンをしてるだろう

バギー、それにワラチサンダルを

はいている姿に

フサフサの金髪、サーフィンUSA

You’ll catch ‘em surfin’at Del Mar,

Ventura County Line, Santa Cruz and

Tressels, Australia’s Narrabeen

All over Manhattan and down Doheny way

Ev’rybody’s gone surfin’, Surfin’ U.S.A.

サーフィンしてるのが目にとまるだろう デルマーや 

ヴェントゥラ郡の海岸線、サンタクルーズ、

それにトレッセルズやオーストラリアのナラビーンで 

マンハッタンじゅうで、ドヒニーへの道をくだって 

みんなサーフィンに行ったよ、サーフィンUSA

We’ll all be plannin’ out a route

We’re gonna take real soon.

We’re waxin’ down our surfboards

we can’t wait for June.

We’ll all be gone for the summer,

We’re on surfari to stay

Tell the teacher we’re surfin’,

Surfin’ U.S.A.

僕らはみんなルートを計画する

今すぐ出発だ

サーフボードはピカピカにみがこう

6月が待ちきれない

みんな夏のあいだ出かけるつもり

もうサーファーたちと合流したよ*

先生にはサーフィンしてるって言っててね

サーフィンUSA

*surfari(surfing+safari)「サーフィン向きの海岸を捜しまわるサーファーグループ」

At Haggarty’s and Swami’s

Pacific Palisades

San Onofre and Sunset,

Redondo Beach, L.A.

All over La Jolla, at Waimea Bay

ハガティーズにスワミーズ

パシフィック・パリセーズ

サン・オノフルにサンセット

LAのレドンド・ビーチ

ラ・ホーヤじゅうで、ワイメア・ベイで

Ev’rybody’s gone surfin’, Surfin’ U.S.A.

Ev’rybody’s gone surfin’, Surfin’ U.S.A.

Ev’rybody’s gone surfin’, Surfin’ U.S.A.

みんなサーフィンに行ったよ、サーフィンUSA

チャック・ベリーの原曲。メロディをそっくり拝借しているにもかかわらず、もともと作曲者に彼は入っておらず、問題になったのだそうだ。どういうこっちゃ。