【歌詞対訳】”Marlene on the Wall” / Suzanne Vega
デビュー・アルバム『街角の詩』(Suzanne Vega, 1985)に収録。スザンヌ・ヴェガも学生時代によく聴いたな。「ルカ」("Luka")や「トムズ・ダイナー」("Tom’s Diner")といった代表曲で知られている人だが、アメリカ人的な陽気さよりはむしろ、ヨーロッパ人的な湿っぽさや翳りを感じさせる。彼女の書く文学的かつ繊細な感受性に支えられた詞は自身のスタイルによく合っていると思う。こういう憂いを帯びた抒情というものに僕はひたすら弱い。歌い手はセックスや暴力、血の匂いのする危うい関係性を生きており、その現場を壁に貼られたマレーネ・ディートリッヒの写真の目が見ている、しかし音楽はあくまで軽やかに、ある種の爽やかささえ感じさせるものに仕上がっている。
“Marlene on the Wall" (written by Suzanne Vega)Even if I am in love with you
All this to say, what’s it to you
Observe the blood, the rose tattoo
Of the fingerprints on me from you
「マレーネ・オン・ザ・ウォール」
たとえあなたに恋しているとして
それを口にしたところで、あなたに何の意味があるのかしら
あなたが私につけた血を、指紋の
ローズ・タトゥーをじっと見てみる
Other evidence has shown thatYou and I are still alone
We skirt around the danger zone
And don’t talk about it later
いまだに私とあなた二人だけなのだと
別の証拠が示している
私たちは危険地帯の周りを歩く
でもあとになってそのことを口に出さないで
*Marlene watches from the wallHer mocking smile says it all
She records the rise and fall
Of every soldier passing
マレーネが壁から見ている
彼女の嘲るような微笑みはすべてを物語っている
まるで通り過ぎていく兵士一人ひとりの
盛衰を記録するように
But the only soldier now is meI’m fighting things I cannot see
I think it’s called my destiny
That I am changing
Marlene on the wall
でも今いる兵士は私だけだ
見えないものと戦っている
それは私の運命と呼べるものだと思う
私は変わりつつあるのね
壁に貼られたマレーネ
Well I walk to your house in the afternoonBy the butcher shop with the sawdust strewn
Don’t give away the goods too soon
Is what she might have told me
私は午後おがくずが散らばった肉屋のそばの
あなたの家に歩いて行く
「品物をそんなに急かして渡さないで」
それがたぶん彼女が私に言ったことだ
And I tried so hard to resistWhen you held me in your handsome fist
And reminded me of the night we kissed
And why I should be leaving
あなたのその形のいい手で抱きしめられたとき
私は必死に抵抗しようとした
それは私たちがキスした夜のことや
私が去っていかなくてはならない理由を
思い出させた
Marlene watches from the wallHer mocking smile says it all
As she records the rise and fall
Of every man who’s been here
マレーネが壁から見ている
彼女の嘲るような微笑みはすべてを物語っている
まるでここにいる男一人ひとりの
盛衰を記録するように
But the only soldier now is meI’m fighting things I cannot see
I think it’s called my destiny
That I am changing
Marlene on the wall
でも今いる兵士は私だけだ
見えないものと戦っている
それは私の運命と呼べるものだと思う
私は変わりつつあるのね
壁に貼られたマレーネ
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