鈴木結生『ゲーテはすべてを言った』(朝日新聞出版、2025年)
*以下の文章は一部物語のネタバレを含みますので、未読の方はご注意ください。
世間的にはあまり耳なじみがないかもしれないが、小説の分野にはアカデミック・ノベルないしキャンパス・ノベルというジャンルが存在する。主人公は主として ...
千早茜『ひきなみ』(角川書店、2021年)
僕は小説を読むのがわりと好きな人間だが、ジャンルとしては圧倒的に純文学が多い。これは読む本がたまたまそうなっているのではなく、かなり意識的に純文学を選ぶようにしているからである。といってしまうと「お高くとまってんじゃねえよ」と反感をも ...
新田次郎『アラスカ物語』(新潮文庫、1980年)
新田次郎の『アラスカ物語』を読んだ。レイモンド・カーヴァーの作品に「アラスカには何があるのか?」(”What’s in Alaska?”)という短篇があるが、この本を読んだあとでは「フランク安田とい ...
平野啓一郎『ある男』(文春文庫、2021)
都城市で開催された平野啓一郎氏の講演会について書いたが、宮崎なので当然『ある男』の舞台設定のこともちらっと話に出てきた。なんでも、平野氏は執筆に際して西都に取材に訪れたのだが、文房具屋は市内に2軒しかなく、はっきり書いてしまうと関係者 ...
平野啓一郎『マチネの終わりに』(文春文庫、2019)
この年末年始に今さらながら平野啓一郎の『マチネの終わりに』を読んでみた。物語らしい物語があまり書かれなくなってきているこの時代に、小手先のテクニックではなくあくまでも物語の面白さで勝負する潔いタイプの作品で、読んでいてかなり引き込まれ ...
村上春樹『街とその不確かな壁』(新潮社、2023年)その2
『街とその不確かな壁』について:その2
前回の考察のつづき。村上春樹の長篇はどれも「この世界とは何なのか」という問いがその核に位置していると思うのだが、『街』のように現実世界と非現実世界をいったりきたりする構成はそういった ...
村上春樹『街とその不確かな壁』(新潮社、2023年)その1
『街とその不確かな壁』について:その1
本当はずっと前に読み終えていたのだが、書くのが延び延びになってしまった。2017年の『騎士団長殺し』以来となる村上春樹の新作書きおろし長篇『街とその不確かな壁』を読んで感じたこと・考 ...