【歌詞対訳】”Dancing in the Dark” / Bruce Springsteen

7作目のアルバム『ボーン・イン・ザ・USA』(Born in the U.S.A., 1984)からの1stシングル。今年11月の大統領選に向けて世界中の注目がアメリカに集まっている一方で、政治的な分断によって起こりうるかもしれない内戦を描いたディストピア映画まで作られている状況を考えると、「ボーン・イン・ザ・USA」("Born in the U.S.A.")を取り上げるべきなんだろうけど、歌として個人的に普遍性があると思えるのはこっちのほう。当時のスプリングスティーンが実際に感じていたであろう、自分を変えたい、何らかのアクションを起こしたいという切実な欲求が伝わってくるからだ。「アメリカに生まれた」というのが歌になるのは世界中どこを探してもこの国だけだろうけど、これはある種アメリカの病的な自意識というか、オブセッションが背景にあるからで、自分としてはそういう「国」とか「共同体」をモチーフにしたものよりは、「個人」に目を向けたもののほうに惹かれる。

“Dancing in the Dark" (written by Bruce Springsteen)

I get up in the evening

And I ain’t got nothing to say

I come home in the morning

I go to bed feeling the same way

I ain’t nothing but tired

Man, I’m just tired and bored with myself

Hey there baby I could use just a little help

「ダンシング・イン・ザ・ダーク」

俺は夕方に起きる

言うべきことはなにもない

帰ってくるのは朝

いつも同じ気持ちで眠りにつく

とにかく疲れてるだけだ*

なあ、俺はただただ疲れてて、自分にうんざりしてる

ヘイ、ベイビー、ちょっとだけ助けてくれたらありがたい

*nothing but O「…だけ、…にすぎない(only)」 

*[Chorus]

You can’t start a fire

You can’t start a fire without a spark

This gun’s for hire

Even if we’re just dancing in the dark

*コーラス

火をおこすことはできないぜ

火花を散らさなければ火をおこすことはできない

この銃は雇われて人を殺めるためのもの*

たとえ俺たちは暗闇の中で踊っているに過ぎないのだとしても

*for hire「賃貸しで(の)」(gun for hire(金で雇う殺し屋)を踏まえたフレーズ)

Message keeps getting clearer

Radio’s on and I’m moving ‘round the place

I check my look in the mirror

I wanna change my clothes, my hair, my face

Man, I ain’t getting nowhere

I’m just living in a dump like this

There’s something happening somewhere

Baby I just know that there is

メッセージはしだいにはっきりしてくる

ラジオがかかっていて俺はあたりをうろつき回っている

鏡で自分の外見をたしかめてみる

この服も、髪型も、顔もみんな変えたい

ちくしょう、俺はどこへも行けない

こんなゴミみたいなところでその日暮らしだよ

どこかでなにかが起きている

ベイビー、とにかくそれだけはわかるんだ

*[Chorus]

You can’t start a fire

you can’t start a fire without a spark

This gun’s for hire

Even if we’re just dancing in the dark

*コーラス

火をおこすことはできないぜ

火花を散らさなければ火をおこすことはできない

この銃は雇われて人を殺めるためのもの

たとえ俺たちは暗闇の中で踊っているに過ぎないのだとしても

You sit around getting older

There’s a joke here somewhere and it’s on me

I’ll shake this world off my shoulders

Come on baby the laugh’s on me

Stay on the streets of this town

And they’ll be carving you up all right

They say you gotta stay hungry

Hey baby I’m just about starving tonight

I’m dying for some action

I’m sick of sitting ‘round here trying to write this book

I need a love reaction

Come on now baby gimme just one look

お前は何もせずぶらぶらして年をとっていく

このへんで聞く冗談は俺への当てつけだ

肩からこの世界を振り落としてやる

心配するなよベイビー、笑いものになるのは俺なんだ*1

いいか、この町の通りにとどまってみろ

やつらはお前をペテンにかけてしまうぞ

やつらは腹ぺこでいなくちゃいけないと言う

ヘイ、ベイビー、今夜俺はまさに飢え死にしちまうよ*2

何かアクションを起こしたくてたまらないんだ

本を書こうとしてここにただぼうっと座ってるのに嫌気がさしてる

愛情に満ちた反応が必要なんだ

さあベイビー、俺をただひと目見てくれ

*1 laugh’s on…「笑い者になるのは…だ」

*2 just about(略式)「(名詞、動詞、形容詞の前で)まったく、まさに」

*[Chorus]

You can’t start a fire sitting ‘round crying over a broken heart

This gun’s for hire

Even if we’re just dancing in the dark

You can’t start a fire worrying about your little world falling apart

This gun’s for hire

Even if we’re just dancing in the dark

Even if we’re just dancing in the dark

Even if we’re just dancing in the dark

Even if we’re just dancing in the dark

Hey baby

ぼうっと座って傷ついた心に涙していたら火をおこすことはできない

この銃は雇われて人を殺めるためのもの

たとえ俺たちは暗闇の中で踊っているに過ぎないのだとしても

自分のちっぽけな世界がくずれ落ちていくのを憂いていたら火をおこすことはできない

この銃は雇われて人を殺めるためのもの

たとえ俺たちは暗闇の中で踊っているに過ぎないのだとしても

たとえ俺たちは暗闇の中で踊っているに過ぎないのだとしても

たとえ俺たちは暗闇の中で踊っているに過ぎないのだとしても

たとえ俺たちは暗闇の中で踊っているに過ぎないのだとしても

ヘイ、ベイビー