“Wolf Like Me”のカバー9曲

2026年4月11日

TV・オン・ザ・レディオの"Wolf Like Me"はゼロ年代のUSインディーシーンを象徴するロックソングだ。YouTubeを徘徊しているといろんなカバーが見つかるのでまとめてみた。こうやって並べてみると、けっこうキャリアのあるミュージシャンから若手までを魅了する力がこの曲にはそなわっているんだなと感じる。

TV・オン・ザ・レディオって何?という方は、紹介記事をつくったので見ていただけるとありがたい。原曲は以下のとおり。2006年のセカンドアルバム『リターン・トゥ・クッキー・マウンテン』(Return to Cookie Mountain)に収録。歌詞対訳についてはこちらをどうぞ。

カナダ・トロント出身のデュオ、The Listrosによるカバー。2020年にSeanとEvanのListro兄弟によって結成されたロックデュオということらしい。今年1月にリリースされた『Into the Otherside』に収録。ノーナンセンスなカバーだが、プロモーションビデオまで作る気合いの入りっぷり。こうやって聞くとメジャーなロックバンドの曲のように聞こえるな。セカンドヴァースの"Teach you tricks that’ll blow your mongrel mind"の"mongrel"(「雑種の、混血の」という意味の形容詞)が削除されているが、これも最近はやりの人権意識への配慮だろうか?

テキサス生まれ、ジョージア育ちのシンガーソングライター、Lera Lynn(1984年生まれ)によるカバー。アルバム『Plays Well with Others』(2018)に収録。このカバー集のなかでは文句なくいちばんおもしろい。個人的に、カバーというものは原曲に新しい個性をつけ加えるのでなければ、リリースまでする意味はないと思うんだよね。まあ若手ミュージシャンが経験を積むためにコピーするのはぜんぜんいいんだけど。

talkerこと、2024年にデビューしたCeleste Taucharによるカバー。出身はロサンジェルス。LAといえばデイヴ・シーテックのフェデラル・プリズム・ホームスタジオがあるところだけど、そんなお膝もとでよくカバーする気になったな。まあいいんじゃないでしょうかね、という出来。

2015年にロサンジェルスで結成されたバンド、Midnight Divideによるカバー。女性コーラスが三人もいるという(無駄な)贅沢っぷり。原曲ではセレブレーションのカトリーナ・フォードが参加しているので、女性シンガーをいれるのはじつは忠実なカバーなんだよね。ヘッドの弦を弾くというギター奏法(いわゆるヘッドピーン)はレディオヘッドなんかもやっていた気がする。

Split Singleこと、イリノイ州・エヴァンストン出身のJason Narducyによるカバー。2011年デビュー。ヘッドピーン多め。ベースで聞かせる。1分40秒とかの右手の動きは、レターマンのトゥンデの左腕の動きをリスペクトしているんだろうか。あれは左腕でレディオヘッドの『OK Computer』を表現してるんだとか言われてたな笑。

2006年にオーストラリア・シドニーで結成されたインディーポップバンド、The Holidaysのカバー。こちらは打ち込み主体、シンセやアコギをもちいたポップなサウンド。すくなくとも脳筋でごりごりのロック仕立てにするよりかはおもしろいと思う。

1990年にイリノイ州・ザイオンで結成されたロックバンド、Local Hによるカバー。1994年デビューの古参バンドであり、結成当初からのメンバーは現在ではScott Lucasのみと、なかば彼のソロ・プロジェクトのような様相を呈している。このラフで生々しい音は90年代USインディーシーンの生き証人である証。キャリアが長いだけあって、ロック寄りのカバーのなかではけっこういけている。

Aaronによるカバー。ネットに情報があがっていないので何ものなのかわからなかった(ロンドンでのライブだし、発音からとりあえずイギリス英語の人だということはわかる)。路線としてはThe Holidaysみたいなシンセポップカバー。

おまけ。"Wolf Like Me"とThe XXの"Intro" (XX, 2009)のマッシュアップ、その名も“Wolf Like The XX"(笑)。サムネのタイトルも間違っているというゆるさなのに、けっこう秀逸な出来栄え。