【歌詞対訳】”There Is a Light That Never Goes Out” / The Smiths

2025年7月17日

間違いなくザ・スミスというバンドを象徴する曲。ロンドンに行くと赤い二階建てバス(double-decker bus)が市内を走っているが、こんな日常性あふれる乗り物にひかれてつまらない死を迎え、至福の状態へと至るという対比の仕方がいかにもモリッシーらしい。彼の感性は三島由紀夫のそれとだいぶん似通っていると思うが、小説家である三島は高級な語彙によって死を徹底的に美化する一方で、詩人であるモリッシーはごく平凡な言葉の非凡な組み合わせによって死をどこかユーモラスなものに変えてしまう。三島は1970年に切腹自殺という時代錯誤もはなはだしい死に方をしたが、スティーヴン・”アクション”・モリッシーはそもそも死ぬ気などさらさらないようで、今でも元気に毒を吐き続けてくれている。

マーク・ウェブの2009年の映画『(500)日のサマー』では夢見がちな青年トム(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)がちょっと変わった美女サマー(ズーイー・デシャネル)に恋するが、まさにその場面で出てくるのがこの曲である。トムは秘書として入社してきたサマーとエレベーターで偶然二人きりになるのだが、そのときヘッドフォンでこの曲を聴いていた彼は信じられないことを耳にする。サマーが自分もスミスが好きと話しかけてきて"To die by your side is such a heavenly way to die♪"と口ずさむのだ。これは全スミス・ファンが思わずニヤけるところだろう。しかし、トムが思う「スミスが好き」というのはオタク特有の熱狂的な偏愛を伴っているのに対して、サマーの「好き」は言葉の本来の意味での好きでしかない。意図的に時系列をバラバラにした細切れの場面を積み重ねていくことで、すこしずつ二人の関係性が変化していく過程を描写するという構成がじつに秀逸で、英米のサブカルにどのくらい通じているかで理解度が変わってくる作品でもある。個人的には、外見は爽やか系イケメンでも中身はインディー大好きのオタクだとやっぱりうまくいかないというところに妙なリアルさを感じている。

“There is a light That Never Goes Out" (written by Morrissey and Johnny Marr)

Take me out tonight

Where there’s music and there’s people

Who are young and alive

Driving in your car

I never, never want to go home

Because I haven’t got one

Anymore

「ゼア・イズ・ア・ライト・ザット・ネヴァー・ゴーズ・アウト(決して消えない一条の光)」

今夜、僕を連れ出してよ

音楽があって

若くて生き生きとした人たちがいるところへ

君の車でドライブ

僕はもうけっして家に帰りたくない

だってもうこれ以上

家なんてないのだから

Take me out tonight

Because I want to see people

And I want to see life

Driving in your car

Oh please, don’t drop me home

Because it’s not my home, it’s their home

And I’m welcome no more

今夜、僕を連れ出してよ

人々を見てみたいし

人生というものを見てみたいんだよ

君の車でドライブ

ああ、お願いだよ、僕を家におろさないで

だってそこは僕の家じゃなくて他の人たちの家だし

もうこれ以上僕は歓迎なんてされないのだから

*Chorus

And if a double-decker bus

Crashes into us

To die by your side

Is such a heavenly way to die

And if a ten ton truck

Kills the both of us

To die by your side

Well, the pleasure, the privilege is mine

*コーラス

もし二階建てダブルデッカーバスが

僕たちに突っこんできて

君のそばで死ぬなんてことになったら

それはきっと天国のようにすばらしい死に方だろうな

もし10トントラックが

僕たち二人をひき殺して

君のそばで最期を迎えるなんてことになったら

喜びも特権もみんな僕のものさ

Take me out tonight

Take me anywhere, I don’t care, I don’t care, I don’t care

And in the darkened underpass

I thought: 'Oh God, my chance has come at last!’

But then a strange fear gripped me

And I just couldn’t ask

今夜、僕を連れ出してよ

どこへでも連れて行ってよ、どこだってかまわないさ

ガード下の交差路の暗がりで

僕は思ったんだ「神様、とうとう僕にもチャンスがやってきた!」

でもそれから奇妙な恐れにとらわれてしまい

言い出すことができなかったんだ

Take me out tonight

Oh take me anywhere, I don’t care, I don’t care, I don’t care

Driving in your car

I never, never want to go home

Because I haven’t got one

Oh I haven’t got one

今夜、僕を連れ出してよ

どこへでも連れていってよ、どこだって気にしないよ

君の車でドライブ

僕はもう二度と家に帰りたくない

だって帰る家なんてないのだから

もう帰る家なんてないんだ

*Chorus

*繰り返し

There is a light and it never goes out…

一条ひとすじの光があって、それは決して消えていかないんだ…