【歌詞対訳】”Lifetime Piling Up” / Talking Heads

コンピレーションアルバム『ポピュラー・フェイバリッツ 1976-1992:サンド・イン・ザ・ヴァセリン(ワセリンに混じった砂)』(Popular Favorites 1976–1992: Sand in the Vaseline, 1992)に収録。僕がトーキング・ヘッズを最初に聞いたのはこのアルバムを通してだった。「サイコ・キラー」("Psycho Killer")や「ワンス・イナ・ライフタイム」("Once in a Lifetime")といった代表曲はもちろん、スタジオアルバム未収録のレアな音源も入っている、入門編にうってつけのアルバムである。

トーキング・ヘッズは僕もよく聞いた。中期の頃はアルバム『リメイン・イン・ライト』(Remain in Light, 1980)みたいなリズム的実験に全力投球したアフリカン・ポップスに凝っていた彼らだが、時間がたってみるとそこを通過した後期のひねくれポップス路線が自分としては一番しっくりくる。この曲は『ポピュラー・フェイバリッツ』にしか収録されておらず、したがってトーキング・ヘッズが好きな人たちのあいだでも知名度は低かったりするかもしれない。僕は好きだ。メロディアスではあるけれど、いつもどおりデヴィッド・バーンは神経症的だし、全体として奇妙なテイストであるところはXTCあたりとよく似ている。

“Lifetime Piling Up” (written by David Byrne, Chris Frantz, Jerry Harrison and Tina Weymouth)

I have tried marijuana, I get nervous every time

There will come a knocking at the door

Why is everybody making eyes at me?

I don’t want to know

Excuse and pardon me, stay for a while

Maybe we’ll never meet again

「ライフタイム・パイリング・アップ(積み重なってゆく人生)」

マリファナを試してみたことがあるけど、そのたびに不安になってしまう

誰かがドアをノックするんじゃないかって

どうしてみんな僕に色目をつかうんだ?*

知りたいとは思わない

どうか失礼をご容赦ください、しばらくここにいてよ

たぶん僕らはもう二度と会えないから

*make eyes at… 「…に熱い視線を向ける、色目を使う」

And I can see my lifetime piling up

I can see the days turn into nights

I can see the people on the street

Open those windows up

A hundred floors below me

Piling those houses up

Piling them higher, higher, higher

I can feel them swaying back and forth

Building it higher, higher

This tower’s leaning over

僕の人生が積み重なってゆくのが見える

昼が夜へと移っていくのが見える

通りにいる人たちが見える

あの窓を開けてみよう

足下には百もの階がある

あの家々を積み上げてみよう

高く、高く、もっと高く積み上げよう

それらが前へ後ろへ揺れているのを感じる

高く、高く建ててみよう

この塔は傾いていく

I got bad coordination, stuck a pencil in my eye

I can hardly wait to get back home

Why is everybody getting paranoid?

I’s only having fun

Scumbags and superstars, tell me your names

I’ll make a bet you’re both the same

僕はうまく協調運動ができなくて、鉛筆を目に突き刺した

家に帰りたくてもう我慢できない

どうしてみんな偏執的になっていくんだ?

僕はただ楽しんでいるだけだ

いやみったらしいやつらにスーパースターたち、名前を教えてくれ

お前らはどっちも同じというほうに賭けるよ

I can see my lifetime piling up

Reaching from my bedroom to the stars

I can see the house where I was born

When I was growing up

They say that I could never keep my trousers up

I remember days and crazy nights

Are there any pirates on this ship?

And if they sober up

They’ll have us home by morning

僕の人生が積み重なってゆくのが見える

この寝室から星まで届くよ

僕が生まれた家が見える

大きくなっていくとき

この子はズボンを上げておくことができないだろうねと言われたっけ*

昼も狂った夜も覚えているよ

この船には海賊が乗っているのかな?

かれらがもしおとなしくなったら

朝までに僕らを家に帰してくれるだろう

*keep one’s trousers up:「ズボンを上げておく」というところから、物事をちゃんとするということを表す。

Cry, cry, cry (Cry, cry, cry)

It’s just you and I (It’s just you and I)

Like an automobile (Like an automobile)

With no one at the wheel (With no one at the wheel)

We’re spinning out of control (We’re spinning out of control)

We’re all over the road (We’re all over the road)

In our sexy machine (In our sexy machine)

Oh, the passengers scream, scream, scream

ああ、なんて悲しい

君と僕だけだなんて

まるで誰も運転席にいない

自動車みたいだよ*

僕らは回転しながら制御不能になる

僕らはみんな路上にいる

僕らのセクシーな機械に乗ったまま

ああ、乗客たちは叫ぶ、叫ぶ、叫ぶ!

*at the wheel「ハンドルを取って、(船・車を)操縦(運転)して」

I can see my lifetime piling up

I can see it smashing into yours

It was not an accident at all

Open your window up

I hear you laughing

Going one, two, three, four, five

Going from the bottom to the top

Maybe I’m holding on too tight

And now I’m throwing up

I got a funny feeling

Piling those houses up

Piling them higher, higher, higher

Building that highway to the stars

Turning the music up

Hey, I got a winning number

僕の人生が積み重なってゆくのが見える

君の人生に衝突していくのが見える

それはぜんぜん事故じゃなかった

君の窓を開けてごらんよ

君の笑い声がきこえる

ワン・ツー・スリー・フォー・ファイブといこうじゃないか

いちばん下からいちばん上までいこう

たぶん僕はあまりに一生懸命持ちこたえているんだ

もう戻してしまいそうだよ

おかしな気分さ

あの家々を積み上げよう

高く、高く、もっと高く積み上げよう

あのハイウェイを星まで届くように建設しよう

音楽のボリュームをあげよう

ヘイ、このくじ当たってるよ!